湯島 多古久さん
勤め先のすぐ近くにありながらなかなか行けていなかった老舗のこちら。
何度か一人で通りかかったのですが、外から見ると薄暗い店内。
一見を寄せ付けないような佇まいで、ちょっと敷居が高く感じていました。
この日は同僚と予約をして訪問。
18時に予約したのですが、お店に着いたらのれんが出ていない。
まさかと思ったものの、18時丁度の開店と同時に写真ののれんがかかり一安心。
お通しはむかご
騒がしい上野仲町通りから、一歩こののれんを潜るとしんと無音の店内。
開店と同時に入店したので、店内には我々だけでした。
一人で初めてだったら、逆に落ち着かない老舗の空気感に勝手にプレッシャー。
席につくと、すぐに写真のお通しが出てきます。
ほっこりとしたむかご。いい塩梅でとても美味しい。
瓶ビールを頼み、一口飲んで少し落ち着きました。
むかごをつまみながら、おでんを注文。
歴史を感じる風格のある大鍋
カウンターのかどに、おでんの大鍋。
長年使ってるであろうことを全く感じさせないほど、ピカピカに磨かれた大鍋。
今やコンビニでも、手軽に食べられるのが当たり前になったおでんですがこういった手入れにも丁寧な仕事ぶりが浮かび、期待感が高まります。
本当はこの前に座って飲みたかった。ここがこの店の特等。
写真ではわかりにくいですが、かなり濃いめの色の出汁です。
値段のないメニュー
おでんだけ出なく、店内に貼ってあるのはメニュー名だけ。
お店のどこをみても値段の表記がありません。
全てが時価?ということなのか。
そこここにお金が記載されているのは「粋」じゃないといいうことなんでしょうか?
それでも寿司じゃなく、「おでん」ですからそれほどではと、注文。
一人前ずつ土鍋
おでんを注文すると、写真の土鍋で出てきます。冷めにくさへの工夫?
じゃがいも、大根、ネギ鮪
大根は真っ黒なのに色ほどしょっぱくない。
ここまでの色になるまで相当煮込んでいるのに食感がしっかり残っている不思議。
じゃがいもも、煮崩れることなく、ほっくりとしたまま、味しみしています。
芋の甘さも感じられる素材のよさを感じます。
ねぎ鮪はねぎはしゃきっと、鮪はほろほろと。結構脂の乗った鮪出ないともっとバサバサした感じになると思う。それぞれにしっかり味がしみています。
お燗を挟んで2皿目へ
2皿目はちくわぶ、はんぺん、がんもどき
ちくわぶも大根同様によくしみた色ですが、味はまろやか。
はんぺんはどうしたらこんな風にブリブリした食感になるのか、口にすると心地いい弾き感です。
がんもどきはしっかりと詰まったタイプ。固めのがんもどき。ジュワッとだしが滲み出てきます。期待以上のがんもでした。
絶品のおでん
100年、4代に渡って続く老舗の絶品おでん。
こちらのお燗でいただいたお酒は「白鷹 褒紋正宗」。伊勢神宮の御神酒。
ぬる燗で、とろりと甘い口当たりでほのかに木の香りを感じます。
ほろ酔いで当初の敷居の高さも忘れ、再訪したいお店の一つになりました。
今日もごちそうさまでした。